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やまのあべば

Author:やまのあべば
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モンチッチ大学ドクターコース在学中

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読んだ本:体温を上げれば病気が全部治る?
バカバカしくて、この手の内容の本は読まないってことがあります。今回はあえてその手の本を読んでみました。これから、内容について書くので、どのようなプロフィールの著者が書いた本か想像してみてください。


その著書によると、病気の多く(著書によく出てくることばは「がん」)は低体温で免疫力が下がるのが原因。だから体を温める食事をとって免疫力を高めましょうとのこと。この程度なら誰でも考えそうですが、著者の主張テーマはなんと「基礎体温を上げれば、病気は何でも必ず治るぜ。ベイベー!」です。もう、トンデモな臭いがしてきました。クンクン。

体が温まれば血流がよくなるので、代謝が活発になるのは当前ですね。でも、それで「病気が全部治る」なんてのは論理が飛躍しすぎじゃないですか? 実際に手を動かして実験してるヒトは自然にわかることですが、生物は複雑な構造物なので「こうすれば、絶対こうなる!」なんて単純なものじゃありません。

著者を検索してみます。ブログやアマゾンのレビューなどで大絶賛してるヒトが多いですが、その書き手の文章から想像すると「あるある」で納豆を買いしめた層とずいぶん重なるような気がします。

まあ、ブログでヨイショしてる記事があっても、クチコミ広告と言って、ヨイショ記事を書いたら何百円か報酬がもらえるなんてシステムがありますから、本当に絶賛してるのかどうかわかりませんが。筆者もメルマガの宣伝に利用しようとして、値段が結構高いのでやめたこともあったりします。

本題に戻って、ここで疑問。じゃ、免疫が悪さをするアレルギーや自己免疫疾患は体温を下げて免疫の活動を抑えればいいんでしょうか。この場合、著者の言う通りに体温を上げれば「必ず治る」どころか悪化しそうですが、本書では詳しくは触れられていません。残念。

また、日本人でガンや心筋梗塞が増えてると書いてあります。前後の流れからみて、体温が下がってるのが原因だと錯覚しそうなんです。でも「体温低下が原因だ」とはどこにも書いてません。どうしてここでこんな記述が出てくるんでしょうか。たぶん、恐怖感を利用して読者の危機感を煽ろうとしてるんだと思います。

この際、思いついたことを書いていきます。脳梗塞が起きたとき。体温が高く脳の活動が活発なままだと、血流が停滞する中でどんどん栄養を使い果たしたり、有害物質が放出されたりして脳細胞が死んでしまいます。それを防ぐため体温をわざと下げて、脳の活動を下げてやる方法があります。体温上げたら死んじゃいますよ。

まだあります。解熱鎮痛剤は、著者の主張からすれば体温を下げる薬として超悪役です。でも「アルツハイマー発症のリスクを下げる」という結果が疫学調査なんかでわかってきています。(一例としてあげておきます:Nonsteroidal anti-inflammatory drugs repress beta-secretase gene promoter activity by the activation of PPARgamma.)


著者は「(がん細胞は)39.3度C以上になると死滅する」とも述べています。だから体温が高い方がいいのだと。引用が著書に載ってないので確かなことはわかりませんが、恐らくそれは試験管での実験結果なので、ヒトの体に適用するのはナンセンス。末期ガン患者がインフルエンザに感染したら、ガンが治るとでも? 


本書の最大の欠点は、さっきも触れたように引用(参考文献)が全く書かれないんですね。普段、引用だらけの文章を読んでるので、なんか不自然な感じです。あえて書かなかったのかな、ということで、体温と免疫の関係についての論文を検索してみましたが、過去10年間にこの著書の根拠になるようなものは見つかりませんでした。

つまり、著者は「体温が上がると細胞がよく働いて免疫が活発になる」という点から仮説をたて、その仮説にそって本書を書いてるんですね。でも、仮説は所詮、仮説。それを研究で明らかになった事実であるかのように書いちゃだめですよ。

この本。どんなヒトが書いたと思います? まだ学生の筆者にいくらでも突っ込まれる本です。ペーペーの学生?健康器具会社の社長?どこかのテレビ局のヒト?

いやいや。


長崎大学医学部を卒業の医学博士



なんですよ。なんでこんないい加減な本書いてるんでしょうか。この著書の表紙の著者名の前には、わざわざ「医学博士」という言葉が書かかれてます。「単純な(短絡的な)論理」と「博士や教授といった権威付け」の構図は「あるある」で使われたのと同じです。書店で平積みで置いてあったので、結構売れてるみたいなんですよ。この本の内容は「あるあるの納豆」と同じレベルですから、騙されたら恥ずかしいですよ。

にしても、博士の肩書きにコロッと引っかかったヒトが、「うわ。だまされてた!」て気づいたとき、まじめな多くの博士の名の評価まで落ちますよ、きっと。科学弱者を守るためにも、博士が自分たちを守るためにもこういうのをスルーしてはいけないと思います。

かの著者には必死に研究費をとり、体温と寿命について疫学調査の論文を発表してからから、本を書き直してもらいましょう。



最後になりましたが。

筆者も博士号をとったら、ちょっと権威付けしてみようと思います。




へっぽこバイオ研究!~素敵な医学博士やまのあべば

・・・・・・




本当にすみません。メガホンとか筆箱とかハリセンとかこっちに投げないでください。えーん痛いです。


ここまで読んで頂きましてありがとうございました。

もしもの本書ご購入はこちらよりどうぞ~「体を温める」と病気は必ず治る 実践編―免疫力5~6倍強化~

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デトロイト・メタル・シティ(DMC)
コミックです。友人と会ったときに「おもしろいから読んでみて!」とわざわざ買ってくれました。この年になっても学生だからな。なは。なは。本当にありがとう。

平和的でキュートな歌が好きな主人公。なぜか、デスメタルのヴォーカルをやることになったというストーリー。多くのシーンでファンが出てきて、セリフの中で解説してくれるんだけど、それが一々おもしろいんだ。2巻まで読んで、傑作は東京タワーです。笑わせてくれます。

帯を見ると、実写映画化されるそう。とくにライヴシーンが、どんな風に映像にされるのか楽しみです。

「デトロイト・メタル・シティ」をアマゾンで買う



感染 仙川環 著
ここ数年、読むのは論文やニュース、科学系の新書ばかりで “リアル” なものばかりでしたが、書店でふと目に入った本を買いました。(そう言えば、DSでファイファンは遊んだ。今年の初め。)

その名も 感染 仙川環 著(小学館) 。小説なんて、ホント何年も読んでなくてモチベーションがわかず。数週間放置の末、連休で時間の余裕があったのでようやく手にとってみました。

著者のプロフィールを見ると、大阪大学の医学部修士課程を修了したと書いてある。そのまんまなタイトルなんで、妙に納得。この手の本は特に経験もないヒトが“想像”で書いたりして、ラボの描写などに不自然さがわんさかあるだろうと、半ば決め付けて粗探ししようとしていました。なので、張った肩を緩めて読書に入ることができました。

読んで感じたことは、一つの文章が短いこと。難しい表現がなく端的であること。登場人物が少なく、とても整理しやいこと。筆者もこれでも売れないメルマガを書いてるので、かの著者と重ね合わせてしまうというか。レベルが全然違うけどね。

序盤からラボの描写が出てくるので、ラボの雰囲気を知ってもらうにはいい本かも、と軽い気持ちで読んでたら、展開がどんどんシリアスになっきてとても軽い気持ちでは読めなくなってくる。この時点で、ストーリーに没頭してしまって一気に最後まで読まないと気がすまない状態、と言えばわかってもらえるかもしれない。

そして、中盤になると、子どもの臓器移植という深刻なテーマを描いている作品だということに気付く。医学部の研究室での経験、新聞記者としての経験が絶妙に織り成しあった、著者の経歴でしか書けないだろう作品に仕上がっていると思う。ジャンルは小説だけど、中身はリアル。久々にいい作品を読みました。

感染 仙川環 著(小学館)




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